☆入門編



 我々DogHouseは、「DogHouseのスタンス」に書いた通り、
 公道の暴走行為を無くし、サーキット走行に興味がある方の背中をもう一押ししてあげたい、
 そんなコンテンツが「サーキット行こうよ」です。


 サーキットを走って見たいなと思ったあなた
 「まず何をしたら良いか?」
 最初は解りませんよね。


 ・服装編
    基本は長袖・長ズボンですが、
    化学繊維の服は万一の火災時に溶けやすいので、綿(コットン)製の服がお勧めです。
    靴は履きなれた靴の中で底が薄いものを選びましょう。
    グローブは、軍手・指先の出る物はダメ。
    安い物でも良いので、「手に合ったサイズ」のレーシンググローブを用意しましょう。

 ・車両編
    一番やってはいけないのは「オイル漏れ」です。
    他の車両も走行できなくなってしまいます。
    走行前に必ず、ドレンボルトの確認とレベルゲージの固定をしましょう。

    ブレーキパッドは、最初はとりあえず対応温度が600度以上あれば大丈夫でしょう。
    ブレーキ・クラッチフルードはDOT4以上に交換しておきましょう。
    ブレーキはいい加減な整備をすると痛い目にあうので、
    キチンと整備しておいてください。

    タイヤはヒビ割れが無く溝が残っていればOK。普通のスポーツ系では
    ないタイヤでも良いのでまずはサーキット走行自体を楽しみましょう。
    そのかわり空気入れ・エアゲージを用意してきちんと圧を管理しましょう。

    レンズのテーピングを忘れずに。
    灯火を機能させるために透明のテープをお勧めしますが、
    テーピングの有無が見えないため透明色を禁止する主催者もいます。
    割れたレンズが飛散しないようにボディまで長めに貼っておきましょう。
    幅の広いセロテープ状の物は後で糊が残って大変です。
    電線に巻くようなビニールテープが良いと思います。

    あとはできたら水温計が欲しいところです。100度を超えたらペースを
    落としてクーリング走行しましょう。

 ・走り方編
    走行前のドライバーズミーティングでは、
    旗の種類・コース図・ポストの位置・消火器の位置を確認しておきましょう。
    (旗については、事前に予習して覚えておいた方が良いです。)
    また、不明な点は必ず走行前に主催者に質問しましょう。

    さあ、いよいよ走行です。
    適度な緊張感を持って準備しましょう。
    全然緊張しない、という人はいないでしょうが、
    ガチガチに緊張してしまった時は、軽く柔軟体操したりするとリラックスできるかもしれません。
    走行中に足がつったりする事も防止できます。(笑)

    コースインして2〜3周は、ピットアウトした側の端に寄ったままスロー走行し、
    路面の状況(オイルの跡・砂・土・脱落部品の有無等)や、
    使用されるポストの位置、消火器の位置を確認しましょう。
    ペースを上げていくのは、
    各コーナーの大きさ・エスケープゾーンの確認が出来てからにしましょう。

    少しずつペースを上げられたら、
    今度は、ストレートだけで良いので、バックミラーを気にしてみましょう。
    残念ながら、複数回走っている人でもミラーを見ていない人が多いです。
    慣れたらいつでもバックミラーは見れますが、
    まずはストレートだけ、バックミラーを見るクセを付けましょう。


    コレ位で1枠目の走行は終わってしまうと思います。
    確認したり、回りに気を使ったりで、
    「思いっきり全開!」には程遠いとは思いますが、
    「初めてのサーキット走行、1枠目でクラッシュ」が一番辛いと思うので、
    最初は慎重過ぎるくらい慎重に行きましょう。

    2枠目からは、コース幅を使ってみましょう。
    引き続きバックミラーの確認も忘れずに。

    コーナーが近づき、その時後ろから速い車が見る見る迫ってくる!
    そんな緊張の一瞬が必ずあると思います。

    この時やってはいけないのは、
    「ラインを変える」「スピードを落とす」という事です。
    相手の予想外の動きは『接触』の可能性を高くします。

    抜かれそうな時、自分がすでにコーナリングに入っているなら、
    そのまま自分のラインでコーナリングしてしまいましょう。
    速い車にはコーナーひとつ我慢してもらうことになるかもしれませんが、
    ストレートで抜いてもらうのが一番安全です。


  トラブルへの対処
    スピン・コースアウトしてしまった時は、慌てず周りを確認しましょう。
    慌ててコースに戻ろうとすると、思わぬ接触の可能性があったり、
    コースに砂利を撒き散らしたりする事もあります。
    オイル漏れしていなければPITへ戻りましょう。

    オイル漏れしている(可能性がある)場合は
    速やかに車をコース外へ退避させてエンジンを停止させてください。

    出火していなければ他の車が迫っていないことを確認してから
    降車してタイヤバリヤやガードレールよりコースの外側へ退避してください。

    出火している場合はとにかく降車して逃げて下さい。
    そして自分に耐火装備(レーシングスーツ)がある場合は消火を試みて下さい。
    耐火装備が無い場合は消火活動はオフィシャルに委ねましょう。
    車は買えますが自分の体は買えません。

    コースアウト車両に対して出た黄旗が解除になるタイミングは、
    車がコース上から出ている場合、
    ドライバーがガードレール外に出たかどうかで判断されます。

    ボンネットを開けて点検するなんていうことは論外です。
    そんな事をしたら、コースアウトしてきた車両にはねられてしまいます
    さらに、後で主催者(サーキット管理者)からキツクお叱りを受けることになります。




☆本格編

 何回か走ってみて
 「これからもサーキットを楽しみたいな」
 と思ったら、

 もうちょっと装備を充実させてより楽しめる環境を整えてみましょう。




 ・服装編

    長袖長ズボンでも一番いけないのがポリエステル製、これなら裸のほうがマシです。
    ポリエステルに限らず石油系繊維で作られた服は石油なので良く燃えます。
    おまけに溶けて皮膚に張り付きます。
    ちょっとした火災でもすぐに皮膚移植が必要なレベルのヤケドになってしまいます。
    おそろしいことです。
    しかも燃えたところが火種になってどんどん引火していきます。

    この材質の話は靴・靴下・下着も含まれます。

    これまで使ってきた長袖・長ズボン、ダメではないですがもっと
    良い物があります。

    それは

    「レーシングスーツ」

    そう聞くとちょっと二の足を踏んでしまうかもしれません。
    でもとても大事な事なんです。

    FIA公認の物ならノーメックス(アラミド)という難燃繊維を使っています。
    基本的に燃やせば燃えるんですが数秒で自己消火してしまうので
    火に触れた所がコゲル程度で済みます。

    最近はFIA非公認の物でもノーメックス(アラミド)を使っていたり、
    綿(コットン)で防炎加工を施した物もが安く売られていたりします。
    

    それと形状。
    レーシングスーツは上下がつながっていますね。
    これだと救出時どこかを掴めば確実に人を車外に引きずり出せるんです。
    緊急時にどこを掴んで引っ張るかを検討している暇は無いので
    救出者のリスクを軽減するという意味もあります。
    クラッシュ時に火が出て、その時服がめくれていると火傷するというリスクも避けられます。
    レーシングスーツであれば生地が座った状態で適切な余り具合になるように作られています。

    というわけでFIA公認のスーツが1番お勧めですが、
    年単位でサーキットを楽しもうと考えている人はせめて非公認のスーツにしましょう。

    あまりおどかしたくはありませんが、
    車両火災というのは現実にありえる近い存在であるとお考え下さい。

    靴について
    クラッシュ時にはペダルに足がぶつかって曲がってしまうことがあります。
    それだけ足を強打すれば当然怪我をします。
    ちょっと値段が高いですがくるぶしが隠れるタイプをお勧めします。

    グローブについて
    袖部の長さは長いほうが、めくれる可能性が低くて安全です。


 ・車両編

    速く走れるように色々手を入れたくなりますよね。
    でもそこはグッとガマンして冷却系に気を使いましょう。

    走行会はおおよそ20分から30分で1枠になっている事が多いと思いますが
    貴方の車はその間走り続ける事ができますか?
    もし途中でクーリングが必要ならその時間がもったいないと思いませんか?
    もし1枠全開で走りきれる車なら、その分たくさん練習できるということになります。
    お金を払って枠を買っているのですからきっちり走りきれるようにしましょう。

    費用対効果を考えるとまずはローテンプサーモスタット。
    水温の最終的な到達温度はノーマルと変わりませんが
    オーバーヒートするまでの周回を1・2周遅らせることができます。
    クーリングも早く済むのでその分1枠あたりの練習量を増やせますね。

    それでも足りない場合はラジエター交換。
    これは車種によって価格が大きく異なるので必ずしもお勧めはしませんが
    確実に冷却能力が上がります。

    車種によっては水温が下がっても油温が高いままという事があります。
    そうなるとオイルクーラーが必要です。
    油温120度を超えるようであれば装着を検討しましょう。


    少しうまく走れるようになるとしっかりブレーキを踏めるようになります。
    そうなると対応温度が700度以下では性能が足りなくなってきます。
    ただし、700度以上になると低温域の性能が犠牲になっているものがあるので
    街乗りと兼用しようとすると選択が難しくなってきます。
    車によってはフルードの高沸点化を検討する必要があります。


    とにかく車造りはまず1枠走りきれる仕様を目指しましょう。
    そのほうが確実に上手くなりますよ。

 ・走り方編

    コース上での挨拶について。
    譲った相手が挨拶してくれなくてもムッとしてはいけません。
    サーキットではそんな余裕が無い事もあります。

    たまにレースとフリー走行の区別が付けられずに、
    勘違いしてミラーを見ているのにあえて譲らない人がいます。
    そんなのは論外なんですが、居るんです・・・実際に。


    あとは、メモを用意して気になったこと気が付いたことを
    書き留めておくと次回の走行に役立ったりします。